透明なパイプ+黒い脚部。パーツはそれだけ

透明なアクリル製のパイプと、樹脂製の黒いプレートが2つ。アジャスタブルストロークトレーニングツール(以下「ASTT」と)のパッケージに収められているのは、飾り気のないこの3つのパーツだけ。パッケージ写真の通り、透明パイプの両端に黒プレートをはめ込んで使います。その用途は……?

商品スペック

サイズ パイプ=150mm(長さ)×25mm(直径)、プレート小=70mm、プレート大=62mm×53mm
重さ 50g(総重量)
販売価格 2,860円(税込)

 

セッティングもストロークも意外と難しい……

ASTTを押し球の高さに合わせてストロークしているところ

ASTTは「ストローク矯正グッズ」。透明パイプの内側にキューを通すようにストロークをします。①「上下左右のブレのない真っ直ぐなストロークが出来ているかどうかチェックする」。②「ブレがあった場合は反復しながら矯正する」という2つの用途があります。キューを振ってみてシャフトのどこかがパイプに触れたら「ブレてますよ」ということ。

パッケージの英語の直訳は「高さ可変式トレーニングシステム」。つまり、パイプの高さや傾きを調整して、ビリヤードの基本の「縦の撞点」(上・中・下)を捉えるストロークを磨くのがこのアイテムの目的。……なのですが、高さのセッティングがなかなか難しい。「上」(押し球)や「下」(引き球)の高さにはすぐセットできますが、肝心の「真ん中」が合わせにくい。小プレートをパイプの手球側に付け、少し寝かせることで「真ん中」になりましたが、脚部が不安定でした。上記の①でも②でも大抵の人がまず「真ん中」に合わせようと思うはずですが、それがやりにくいのです。

さらに、パイプが細め・長めなので単純にストロークするのが難しい。パイプの直径が2.5cmということはシャフトの直径の2倍ほどしかなく、遊びが少なめ。加えて長さが15cmあるので、ストロークの途中で少しでもキューが波打ったり横ブレすると、すぐ「カチッ」とシャフトがパイプに触れてしまいます。裏返せば、ASTTでパイプに触れずにキューを振れる人は、きれいなストロークの持ち主と言えるでしょう。

ちなみに、パッケージ写真は手球を撞いているような絵になっていますが、この真似をすると、手球をヒットした時の衝撃で生じるシャフトのしなりやキュー先の「逃げ」といった自然な動きですら、パイプに触れてしまう可能性が高いです。ASTT、とんでもなくシビアです……。

 

「ストロークの自己診断には良いと思います。もっと高さを自由に変えられるようになれば……」

商品テスターを務めてくれた大学生プレイヤーの林武志さん(全国レベルの強豪アマ ⇒ JPBA 第58期生)とともにASTTを触りながら意見交換してみたところ、林さんの感想はこうでした。

Good Point

「素振りで使った時の感想ですが、パイプが長くて細いので、ストロークの始めから終わりまでの広い範囲でブレを検知・認識しやすいと思います。いつどんなふうにキューがブレてしまうのか、視覚的にもタイミング的にも把握しやすい。今回初めてASTTを使ってみて、僕も自分のクセを見付けることができました。ストロークの自己診断をするのには良いアイテムだと思います。逆に言えば、ちょっとした動きでもすぐパイプに触れてしまうので、だいぶシビアだなと(笑)」

Bad Point

「そもそもの話ですが、パイプに触れないようにキューを振るのは、ビギナーさんなどまだフォームやストロークが固まってない人にはだいぶハードルが高い気がします。なので、ある程度以上ストロークが安定している方向けのアイテムなのかなという印象です。その上での感想となりますが、ASTTは思ったほど高さを変えられないのが惜しいと感じました。もっと高さのバリエーションが作れるように脚部パーツの数を増やすとか形状に工夫があれば良いなと思います。あと、パッケージ写真のようにASTTを使いながら手球を撞くのは難しかったです。シャフトは手球に当たった衝撃で振動したり、上や下に弾かれたりしやすいですし、フォロースルーのキュー出しの方向には個性が出ます。ASTTではそういうインパクト後の動きも引っ掛かりやすい印象でした」

まとめ

素振り用と割り切れば自宅でも使える

まとめると、ASTTは「ある程度フォームとストロークの基礎が出来上がりつつある人やそれ以上のレベルの人」が、「ストロークのブレをチェックして矯正したい」と思った時に使うアイテムと言えるでしょう。軽量・コンパクトで持ち運びが楽なので「どこでも素振りが出来るグッズ」とも言えます。自宅やオフィスにビリヤードテーブルと同じぐらいの高さ(750mm~800mm)のテーブルやデスクがあるなら、ASTTをセットして、スキマ時間にストロークチェックと矯正に励むのも良いでしょう。

 

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