二本足の不思議な形。穴とヤスリがあちこちに……!?
今回採り上げるのは、二本足の独特な形をした金属製のこちらのアイテム。手のひらに楽に収まるサイズでそれなりに重みを感じます。本体表面には「Multi Functional Cue Tip Trimmer」の文字。日本での商品名は『マルチティップツール』。そう、これはビリヤードキューの先端に付いている小さな革製のパーツ、「タップ」(Tip)をメンテナンスするためのアイテムです。本企画の初回でも同系統のアイテムを試しましたが、こちらは多機能タイプです。
商品スペック
カラーバリエーション | なし(ゴールドのみ) |
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サイズ | 縦82.5mm・横24.5mm |
重さ | 76g |
材質 | 金属 |
販売価格 | 2,689円(税込) |
備考 | 専用の替えヤスリ有(別売り) |
タップをほぐす、丸くする、削る、締める
マルチティップツールの使用方法は大まかに以下の4つ。
その①:「ほぐす」
裏面の格子状の部分でタップ天面をトントンと叩いたり、押し当ててグリグリしたり。こうすることで、プレーしているうちに硬化してくるタップ天面を揉みほぐすことができ、チョークの乗りがよくなり、キューミスの危険性が減ります。
その②:「丸くする」
表裏に一つずつあるすり鉢状の穴には紙ヤスリがセットされています。タップ天面にこの穴を載せてシャリシャリ削ると、きれいな「R」(アール。丸みのこと)が付きます。ゆるいRがいい人は表の穴に、きつめのRが好みの人は裏の穴に。
その③:「削る」
タップ側面が膨らんできたり、繊維がボサッとしてきた時に、「二本足」の外側に付いている紙ヤスリを押し当てて削ります。タップの丸みに合うように「二本足」の外側はわずかにくぼんでいます。
その④:「締める」
タップ側面が膨らんできた時に「締める」というのも有効なメンテナンス。「二本足」の股にタップを挟み、マルチティップツールを回すようにしてキュキュッと締めます。ハリとツヤが出て見栄えもよし。タップの「パンク」抑止にも有効です。
「『締める』機能があるのがいいですね!」
今回も商品テスターを務めてくれたのは大学生プレイヤーの林武志さん(全国レベルの強豪アマ ⇒ JPBA 第58期生)。林さんは以前マルチティップツールを使っていて、当時からタップ側面を締めるのに使っていたそうです。改めて「良い点・悪い点」を挙げていただくと……。
Good Point
「まず、コンパクトで掴みやすい形状で、ほどよい重さがあって扱いやすいところがいいですね。そしてなんといっても二本足の股の所にタップを挟んで締められるのがいい。タップツールはたくさんありますけど、締める機能があるものはそんなに多くないと思います。特に僕は単層(一枚革)タップを使っているので、積層タップより側面が膨らみがちで、そうすると打感や性能が変わります。マルチティップツールがあればすぐにキュキュッと締められて、ツヤも出て見栄えが良くなります。数日に1回やるだけで十分に効果があります。ただ、力をかけすぎるとタップが外れるので注意ですね。僕は一度やりました(笑)」
Bad Point
「R付け用の穴(Rシェイパー)の紙ヤスリは強く力をかけると取れそうなところはマイナスポイントですね。ここは金属のヤスリで良かったのでは? と単純に思ってしまいます。そして、二本足の外側のヤスリはタップ側面に当てて削るということなんですが、先角(白い樹脂の部分)も削ってしまいそうで怖いです。あと、これは僕個人の希望ですけど、表か裏のどこかに平らな金ヤスリを付けてくれたら、文句なしの『マルチ』になると思います」
一つ持っとけば安心!? ロングセラーの強み
十徳ナイフやマルチ工具と同じで「とりあえず一つ持っとけば安心」。そんな気にさせてくれるマルチティップツール。ロングセラーになるのもうなずけます。ただし、くれぐれもこれを床に置いてR付け用の穴にキュー先を突っ込んで火起こしのようにグリグリしないように。簡単に紙ヤスリが外れます(著者は経験済み)。